「クール・ジャパン」とは、今から10年ほど前に、日本のクールな(=かっこいい)文化や商品を世界に売り出し、またインバウンドによる訪日外国人を増加させようと、当時の内閣府が打ち出した国家戦略です(今も継続中のようです)。
ただし、現在の日本では、新型コロナウィルス感染防止の観点から、海外からの来日制限が発動され、その言葉さえ影をひそめている状況かと思います。
「Cool Japan」という言葉自体は、内閣府の戦略以前から、海外ジャーナリストの記事などに度々掲載されていたようですし(約20年ほど前から)、さかのぼること明治維新以後に出現した「お雇い外国人」や「東洋研究者」などが、日本各地を探訪して発見し(掠め取っ)た「クールな」日本文化(絵画・美術品・工芸・芸能等々)を海外に紹介したことも、同様の意味合いがあるかもしれません。
ところで、先述のように、コロナ禍の自粛・行動制限等々により、あちこちうろつきまわる事を生きがいとしている私にとって、こんな苦痛はありません。しかし、感染し病気になり場合によっては死に至るようなリスクを冒すほど愚かではないので、自然と自宅に籠ってゴソゴソやることになります(これも実は結構好きなのですが・・・・)。
今日の時点では、まだゴールデンウィークは明けてはいませんが、先月末から最近までの「自宅でごそごそ」の成果としては、①50年ほど前のお蔵入りしていたモノを整理・(少しだけ)廃棄・(大半を再び)保存したこと、②30~40年ほど前に京都市内のライブハウスで録りためた100本近いカセットテープ(一応音量調整しながらのステレオ録音)の音源をデジタル化したこと(ほぼ9割がた完了)、③テレビ(主にBS)をよく観るようになったこと、あたりでしょうか。
前置きが長くなりました、本日は上記③の結果、とてもユニークな番組がBS放送にあることを紹介したいと思います(ちょっと前に火野正平の「心旅」も良いんですが、加えて「空港ピアノ・駅ピアノ」も紹介したいのですが、また後日ということで)。
その番組名は、冒頭に書いた「Cool Japan(クールジャパン)」です。
劇作家の鴻上尚史氏とタレントのリサ・ステッグマイヤーさんがMCとして、スタジオ内に訪日している(あるいは日本人と結婚して配偶者となった)各国の男女10名ほどが、クールな日本について、毎回のテーマに沿って意見を交わす内容です。その出演者がリポーターとして実際に街に出てクールなところを体験する取材も織り込み、その体験に基づいてコメントするところもユニークです。放送開始して15年ほど続いている長寿番組で、最近のテーマでは「池袋」「お惣菜」「リサイクル」「果物」「定食」などがありました。番組を知らない人は、このあたりの情報だけでは、きっと「日本のクールを宣伝する番組か」「日本文化サイコー!とか言って自己満足するためのものか」「よくある討論形式のバラエティ番組か」といったあたりを想像するのではないでしょうか。
けれども雑学大好き街歩き大好きな私が、この番組はcoolだと魅入ってしまったのにも理由があります。単純に「日本はCoolだ」という番組ではないのです。実は、この番組の構成コンセプト、私が感じるに、前述したように表面上は、日本はCoolだ、ものつくりもCoolだ、と出しておいて、実は随所では「not Cool」な面も結構出てきます。テーマにもよりますが、特に社会制度や慣習、人々の生活などの場合、慣習や価値観が固定化した日本の悪い面(not Cool)が、外国人の目から見た意見で露になることがよくあります。
例えば「パッケージ(包装)」がテーマだった時、風呂敷文化にほぼ全員の外国人はCool!と言いましたが、コンビニやデパ地下などで、華美に包装されたパッケージ、小分けして一人だけ用の美しいパック、それについて多数の外国人がCool!という中で、ドイツ人のハイケさんが一人、ドイツでは容器を持参して計り売りをしているので、パッケージは不要なの、かえってエコじゃないわ、と述べました。これはテーマの趣旨と少しズレた点があったにせよ、いくら美しくて便利な包装であっても、やりすぎはだめなんじゃないか、という意見だったと感じました。そしてさすがドイツ人の国民性、効率的な生活文化が根ざしているんだと、日本の「not Cool」を感じざるをえませんでした。
「Cool Japan(クールジャパン)」なテーマの中に「not CoolなJapan」を見つけるのも面白いものです。
このところ(コロナ禍の影響で)番組制作が制限されているので、何回も再放送され、結構見るチャンスがあると思い、ちょっと紹介させていただきました。あと、番組参加者の面々が毎回違うのですが、何回も見ていると常連さんもいて、とっても個性豊かでユニーク、また魅力的な人が多いのも特色です。私のおすすめ外国人、
先述したドイツのハイケさん(理論的なドイツ人らしい)、中国のシュエさん、イタリアのサラさん、オーストラリアのジニーさん(かなりの日本通です)、アメリカのリサさん(陽気なアメリカ人、日本人と結婚)、などです。