· 

情報通信と選挙

於・亀岡市立図書館
於・亀岡市立図書館

やはり、というのか、兵庫県知事選挙の翌日(月曜日)以降、テレビでのワイドショーでは、パワハラ等で失職した元知事の再選の要因について、

コメンテーターやら識者の分析・意見が喧(かまびす)しい状態です。本日も続いております。

 

もっぱら、その要因として、インターネットの影響を挙げる人が多いようです。また、ネット利用者=若者、といった先入観も、現在では否定的に論じられ、けっこう60~70歳代の方々も、ネットで選挙の情報を得た、という報告もあるようです。

 

その報告を裏付けるように、街頭インタビューで、初老のご婦人が「ネットで真実を知った」と話されていました。

 

おいおい、ちょっと待って、「ネットの真実」って何なの?と感じる私です。

 

古来、人間が発明(開発)した、人と人との情報通信手段は、原始時代の狼煙(のろし)に始まり、太鼓などの音による意思伝達、時代進んで、書簡のやりとり(飛脚→郵便局で今も現役手段)、モールス信号、無線通信、電話(後に携帯電話へと進化)へと進んでいきます。

 

しかし何といっても、1960年代ごろから開発が進んだ電子計算機(コンピューター)を背景にした、情報ネットワークのシステムは、我々の生活全般にわたって、大きな影響を与えたと言えます。

 

当初は、そのネットワークを使った電子通信という、ややマニアックな手段が、一部の、パソコンを持って一定の知識技術をもった人たちの間で流行していました。今のメール送受信の初期の段階で、簡単な文章をやりとりするというもので、利用者はごく少数でした(知り合いのアマチュア無線愛好家=後輩が「やってるんですわ」と言っていて、私はすごく羨ましい思いを持ちました、もう30年ほど前かな、そうなんです、アマチュア無線みたいな感じだったんです)。それが、約20年ほど経過した今、メールの送受信はもとより、ソーシャルネットワークサービスという名称で代表される、ラインやFacebook、エックス、インスタ、ティックトック・・・・と、数えきれないソフトウェア、アプリケーションが存在している状態となりました。

 

この状態は、情報の通信という手段、というより、新たな社会、新たな空間が出来ている、その中でのやりとり、ということではないでしょうか(広い意味では情報の通信ですが、一対一という通信方法が複数の人びととの共有スペースとして存在しているということ、我々が日々接する家族や地域社会、学校・・・といった集団の社会・スペースと同じように)。

 

リアルな空間の中では、人と人は、一定の「お約束事」を意識しつつ、会話なり意見交換を行います。先輩や上司、お客さんには敬語を使うとか、友人や家族などには、ざっくばらん、フレンドリーに会話するとか。また、意見が対立した時でも、それぞれの立場を勘案しつつ、なるべく話がまとまるように妥協点を見出し、前向きに会話していく。対面しているからこそ生まれる配慮、マナーです。これは、時代が変ろうとも、この社会で生活し、仕事をしていく上で、必要な約束事だと思います。

 

しかし、インターネットの空間は、一見リアルな社会のバーチャル感はあるものの、まだまだ未成熟な空間(別の言い方でいえば未完の装置)ではないでしょうか。相手の顔も見えない、自分の顔も知られていない、しかも「ハンドルネーム」という名前で、匿名の人物を創り出して、この空間のの中で、まったく別の人格を持つことも可能です。それを割り切って、自由で楽しい物語の中に浸ることが出来る一方、無責任に、単に憂さ晴らしに、攻撃的に、意図的に在りもしないストーリーを作り上げることも可能です。ここには、リアルな社会にあるべき「お約束事」は、なかなか機能しにくいのではと感じます(個人が特定された前提で情報通信する教育利用のズームや、身元が明白な者同士のチャットや交流サイトは除きます、これはインターネットの有効活用です、こんな一面もあることは承知の上で・・・)。このインターネットの空間、社会、場が、リアルと同じように、一定の倫理観のもとで、正常に存在するためには、もう少し時間と工夫が必要なのかもしれません。そして、それらの情報を受ける我々は、この世界に対して、一定の距離を置いて接することが肝要だと思います。

 

Amazonのサイトあけたら、自分の買いたいモノが次から次へと表示され、ポチッ、ポチッと買い物かごに追加されていきそうになります。そうなんです、インターネットの向こう側には、私の趣味や好物を読み取って、購入を誘っている輩がおります。この仕組みが厄介なんです。同じ傾向の情報ばかりに接していると、それが「真実」であり、他は無い(単にアルゴリズムで表示されないだけ)と思い込んでしまいます。

 

そんな効果が、兵庫県やアメリカ合衆国で出ていたのかもしれません。東京都もタイミングによっては同じだったのかもしれません。

 

 

 

Starting of travel

▼駅のページ 旅の始まり

JR嵯峨野線の駅 他
JR嵯峨野線の駅 他

私への個別メッセージ

こちらへどうぞ

↑公開されません

直接E-mailで届きます。
他の方にも公開してもよい内容なら↓掲示板へ。

ホーム へ戻る